今回は、屋根の「下り棟(くだりむね)」に設置された鬼瓦が、雪害によって損傷した場合の修理対応についてご紹介します。
■「下り棟」とは?
下り棟(くだりむね)
屋根の一番高い「大棟(おおむね)」から、斜め下に向かって伸びる部分の棟を「下り棟」といいます。屋根の形状によって数本あることが多く、雨水の流れや屋根の強度に関わる重要な構造です。

雪が溶けた後が点検のチャンス!
屋根の上は普段なかなか見る機会がないため、破損に気づかず放置してしまうケースも多いです。しかし放置すると、雨漏りや構造へのダメージにつながります。春先の雪解けのタイミングで、屋根点検をプロに依頼するのがおすすめです。
鬼瓦は日本の伝統的な建材のひとつ。美しさと機能を両立させるためにも、定期的な点検と、適切な修理を行うことが大切です。
■修理の流れ
① 鬼瓦と棟周辺の取り外し
損傷した鬼瓦・冠瓦・のし瓦を一度すべて取り外し、古い銅線や崩れた棟土も撤去。下地をきれいに整えます。

② 棟土の詰め直しと補強
風化していた棟土を新しく詰め直し、耐久性の高い配合で施工。鬼瓦や冠瓦がしっかり固定できるよう、下地を丁寧に成形します。
③ 鬼瓦の再設置・銅線固定
元の鬼瓦を使用し、銅線でしっかりと固定。棟瓦も元の形状に合わせて積み直し、ズレや浮きが出ないよう調整。


④ 完成(補修後)
鬼瓦の設置位置・角度を調整し、防水処理を施して仕上げ。全体的に美観と強度を取り戻しました。雪が滑りやすい屋根勾配のため、鬼瓦まわりの固定は通常よりも強化しています。
美しさと強さを両立する和瓦屋根は、日本の気候風土に合った素晴らしい建材です。
だからこそ、適切なメンテナンスを行うことで、長く快適に住まいを守っていけます。